■痛くない麻酔？歯医者さんが教える麻酔治療

歯医者さんの治療で「麻酔」と聞くと身構えてしまう患者さまも多いでしょう。しかしそれは昔のお話です。今の歯科医療では、麻酔の技術が進化していて「痛くない麻酔」が当たり前になりつつあります。

今回は、歯医者が実践している痛みを最小限に抑える麻酔の工夫と、患者さまが安心して治療を受けられるための麻酔治療についてお話します。

■ 事前の「表面麻酔」でチクッと感を軽減

麻酔の注射をする前に、まずは歯ぐきに塗るタイプの「表面麻酔」を使います。これによって針が刺さる時の「チクッ」とした感覚をほとんど感じなくさせる方法です。

■ 麻酔液は「人肌」に温めてから

冷たい麻酔液を注入すると体温との温度差で痛みを感じることもあります。そこで麻酔液を体温と同じくらいに温めてから使用することで、注入時の違和感をなくし、よりスムーズに麻酔が効くようにします。

■ 痛みにくい場所を「選んで」刺入

歯ぐきの中でも場所によって痛みの感じ方が異なります。例えば奥歯と前歯の歯ぐきでは敏感さが違います。これは歯科医師の経験に基づいて痛みを最も感じにくい部分を選んで麻酔を行います。

■ 「電動麻酔器」でゆっくり優しく注入

麻酔液を注入する際の圧力も痛みの原因になることがあります。そこで活躍するのが「電動麻酔器」です。

電動麻酔器を使うと、人の手では難しい、ごく一定の優しい圧力で、ゆっくりと麻酔液を注入します。これにより麻酔液が入っていくときの「圧迫感」をほとんど感じさせずに麻酔を効かせられます。

■ 麻酔液は「ゆっくり、一定の圧力」で

電動麻酔器と同じ内容ですが、麻酔液を急いで注入したり、強い圧力をかけたりすると、歯ぐきの中の内圧が急激に上がり、それが痛みとして感じられる傾向です。そこで歯科医師は、麻酔液を時間をかけてゆっくりと安定した圧力で注入することを心がけています。

■ 効きにくい時は「状況を見極め」て対応

残念ながら、すべての麻酔が完璧に効くわけではありません。例えば炎症が強い場合や、骨が緻密で硬い場合などは麻酔が効きにくい事例もあります。

このような場合、歯科医師は患者さまの状態を丁寧に確認して、必要に応じて麻酔の方法を変えるなど最大限の配慮をしながら治療を進めます。