皆さんは歯の「寿命」をご存知ですか?
近年、「人生100年時代」という言葉を耳にするようになりました。健康寿命が延びることは素晴らしいことですが、長生きする上で「自分の歯で美味しく食べられる」ことも重要です。
しかし現在の日本には「歯の健康格差」が存在します。
この記事では、平均寿命と歯の残存数のギャップ、この格差を埋めて、生涯自分の歯で快適に過ごすための方法について、お話しさせていただきます。

平均寿命と「歯の寿命」のギャップ
私たちは長寿国として知られていますが、実は「歯の寿命」に関しては、まだ十分とは言えません。国の目標「8020(ハチマルニイマル)運動」は、「80歳で20本以上の自分の歯を残そう」というものです。20本以上の歯があれば、ほとんどの食べ物を美味しく噛めると言われます。
しかし実際のところ厚生労働省の調査によると、80歳の平均残存歯数は約15本程度です(※調査年によって変動あり)。これは目標である20本を下回っています。
このギャップは、単なる「加齢」のせいではなく、私たちが歯を失う原因の多くは、生活習慣や日頃の予防・定期検診の有無が影響しています。
歯周病と根面う蝕(こんめんうしょく)
歯の健康格差を埋めるには、まず「なぜ歯を失うのか」を知ることが大切です。
1)歯が抜ける最大の原因:歯周病
歯周病は「世界で最も罹患率が高い疾患」の一つとされています。
歯周病は、歯ぐきや歯を支える骨が細菌によって徐々に破壊されていく病気です。初期には自覚症状がほとんどなく進行するため「サイレントキラー(静かなる殺人者)」とも呼ばれます。
■歯周病が進行すると
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歯ぐきから血が出る
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口臭が強くなる
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歯がグラグラする
最終的には、歯を支えきれなくなり、歯が抜けてしまいます。歯周病は、単に口の中だけの問題ではなく、糖尿病や心臓病など全身の健康にも悪影響を及ぼすことがわかっています。
2)歯の根元の落とし穴:根面う蝕
年齢を重ねると、歯周病などの影響で歯ぐき(歯肉)が下がることがあります。
歯ぐきの下に隠れていた「歯の根元(根面)」が露出すると、ここは通常の歯の表面よりも柔らかく虫歯になりやすい(根面う蝕)という問題が発生します。根元の虫歯は進行が早く、神経に達するだけでなく、歯の深い部分を溶かしてしまうことがあります。
健康寿命にも関わる「口腔機能低下症」の予防
口腔機能低下症とは、加齢に伴って舌や唇を動かす筋肉、噛む力、飲み込む力(嚥下)、発音など、お口周りの機能が総合的に衰えてしまう状態を指します。この機能が衰えると、食事が偏ったり滑舌が悪くなったりして、生活の質(QOL)が低下してしまいます。
口腔機能の維持はお口周りの筋肉を使って顔の表情筋のトレーニングにも繋がります。これにより、ほうれい線の目立ちにくさなど、容面でのアンチエイジング効果も期待できます。歯科医院で口腔機能のチェックを受け、適切なトレーニングを行うことも大事なことです。
「噛める状態」を維持する:噛み合わせの重要性
「歯が残っている」ことと「その歯でしっかり噛めること」はイコールではありません。大切なのは「噛める状態の歯」をいかに長く残せるか、ということです。一本でも歯を失うと残りの歯に負担がかかり、歯並びや噛み合わせが徐々に崩れていきます。これがさらなる歯の寿命を縮める原因になります。
もし歯を失ってしまった場合でも、入れ歯(義歯)やブリッジ、インプラントといった方法で、噛む力を回復させることが重要です。噛み合わせが整うことで、食事を楽しめるだけでなく全身のバランスが整い、肩こりや頭痛の改善に繋がることもあります。
今日から始める予防習慣
今日から始める予防習慣として毎日のセルフケアで、プラーク(歯垢)を徹底的に除去します。また歯間ブラシの使用して歯ブラシだけでは届かない、歯と歯の間の汚れを除去します。
さらに歯科医院での「定期検診、ご自宅では取り切れない歯石やバイオフィルムの専門的な除去(PMTC)もあった方がよいと思います。
歯科医院では虫歯や歯周病の早期発見・早期治療、噛み合わせや口腔機能のチェックなど、人生100年時代、自分の歯で生涯美味しくの小さな積み重ねをお手伝いをします。
